パテカトルの万脳薬という某週刊紙のコラムに
ネコ好きな人はもしかして…
という題目のものがありました。
トキソプラズマという哺乳類に感染する寄生虫の話です。
なんでもトキソプラズマは世界人口の30%近い人が感染していて、
統合失調症の患者では特にトキソプラズマの検出率が高かったという結果が出ているとか。
統合失調症は生活環境や教育環境が原因の「心の病」だと考えられがちですが、
一卵性双生児で一方が発症するともう一方が発症する確率が50%にもなることから
遺伝率が高い疾患なのではないかと想定されてきました。
しかし、現在では母親の胎生期にトキソプラズマが胎児感染した為に双生児一致率が
高まっているのだと考える専門家が増えているそうです。
興味深いのはネズミにトキソプラズマを感染させた実験結果です。
ネズミはネコが嫌いでネコの臭いをかいだだけで恐怖に震え、一目散に逃げ出しますが、
トキソプラズマに感染したネズミは臭いに怯えるどころか近寄っていくことさえあるそうです。
トキソプラズマはネコの体内でのみ有性生殖できるので、まずはネズミの脳と筋肉に感染し、
ネコへの恐怖心を減らし、動きを緩慢にすることでネコに捕食される確率を高めるのだそうです。
そしてネコの口腔を通じて体内に入り込むと。
カレル大学のフレグル博士らはヒトにトキソプラズマが感染しても、動作が緩慢になり
無気力になることを発見し、特に男性に症状が強くでるという結果を得たそうです。
加えて、博士らは「感染者はネコが好きになる。」と主張しているそうです。
ネコ好きは本人の思考や意思の表出ではなく、トキソプラズマの「思う壺」だったとしたら
ヒトの心とは一体何なのか不思議な気分になります。
という感じの内容のコラムです。
非常に興味深いですね。
現代では脳科学が発展してきて、心の状態も脳の働きで説明できるようになってきていますが、
その脳の働きをコントロールをするものが実は一番重要なのであって、
あなたの心をコントロールしているのはひょっとするとムシかもしれないということです。
あなたが好きになる異性のタイプもなんらかのムシのせいかもしれませんし、
やる気が出ない人も、浮気症な人も、怒りっぽい性格の人もみんなムシのせいかもしれません。
胃潰瘍の原因がピロリ菌であることがわかって久しいですが、ピロリ菌を除去してしまうと、
ひょっとしたら胃潰瘍にならないだけでなくナイーブな性格も治るのかもしれないですね。
私はナイーブな性格が胃をピロリ菌が繁殖しやすい土壌に変えてしまうのではと思ってましたが。
ムシや菌の話ではないですが、お酒、たばこを好きな人とそうでない人との性格と行動の違いも
かなりはっきりしていますよね。
ちなみに戦国時代に「針聞書」という本があり、そこには63匹のハラノムシが描かれております。
昔の人はお腹にいるそういったムシが悪さをすることでいろいろな症状が出ると考えたようです。
腰抜けのムシ、汗のムシ、大酒のムシ、欠伸のムシ、昼寝のムシから
蟯虫(ぎょうちゅう)や寸白虫(すばくちゅう)のようなムシも描かれています。
たとえば腰抜けのムシに取りつかれた人は突然の激痛で腰が抜け、生きが詰まって胸元が苦しく
冷や汗をダラダラと垂らし、虫の出す虫酸(むしず)が体内を駆け巡るとむせ返って嘔吐してしまいます。
治療法は木香と甘草を内服すると治るそうです。
大酒のムシに取りつかれた人は大酒飲みになるそうですが、元々泥酔の泥とは虫の名前だそうです。
虫酸が走る
泥酔
ムシの居所が悪い
ハラノムシが治まらない
などなどムシ由来の言葉は結構ありますよね。
映画「千と千尋の神隠し」でもハクの中にいる虫が神様のニガダンゴで吐きだされましたね。
その後、千が踏んづけて、みんなでエンガチョしていました。
あなたの身近にいる人の信じられない行為行動も、その人が身体の中に飼っているムシのせいだとしたら
少しは優しくなれるのではないでしょうか。
自分自身の今思えば何故あんなことしたのかと後悔している行動もくよくよ悩まないでムシのせいにして
前向きにいきましょう(笑)
そしてそのムシを戦国時代の人達にならって針と生薬で治すというのはどうでしょう(笑)
ちなみにこの「戦国時代のハラノムシ」という本は弊院の待合室にございますので、
ご来院の際に是非手に取って見てみてください。
結構ゆるキャラぞろいのキモカワイイ虫がいっぱいでてきます。
横浜 塚本はり灸院