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大晦日。

2021年(令和3年)も今日で終わりますが皆様にとってはどのような1年でしたか?

私は203号室から301号室に移転したことが大きな出来事でした。
203号室には開業してから10年と4ヶ月いたことになります。
いろんな事がありました。とても愛着がある部屋でした。

301号室は203号室よりも明るくてやや広い東南の角部屋です。
ランドマークタワーの夜景や日の出は美しく、
新田間川の濁った緑色も太陽の光が反射して
金色にキラキラと輝いています。
日向ぼっこするだけで身体の調子がよくなりそうな部屋です。
大家さんには感謝しかありません。
願わくば接客をしてくれる相棒が欲しいのですが、
動物禁止ということにゃので難しいです。
できるだけ長くこの環境にいられるようこれからも
頑張りたいと思います。

2022年が皆様にとって良い年でありますように。
ご健康とご多幸を祈っております。


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羊的なもの。

4月27日に父が倒れ、一時危篤状態になりましたが、
5月25日になんとか退院することができました。
医師や看護師の皆さま、力を貸していただいた方々に心から感謝致します。

私の実家では介護ベッドを入れる必要が生じた為、
約30年間、家にあったグランドピアノを手放すことになりました。
アップライトピアノはまだあるものの、思い出のピアノを手放す母の気持ちを思って
話題となっている宮下奈都さんの「羊と鋼の森」を贈ってみました。
まだ、いろいろやることがあるから、と言われたので私が先に読んだのですが
さすが本屋大賞を取るだけあって読んでいてとても心地良かったです。

調律師の葛藤というのは鍼灸師のそれと非常に似ていて、とても共感するものがありました。
まあ、どの道でもそれを究めていく際には同様の葛藤があるかと思いますが、
宮下さんはその調律師の仕事をとても美しく、魅力的なものとして表現されているので、
何故か私の周りの風景までも魅力的なものに感じられてきました。
錯覚なのか心の持ちようなのか、ともかく文章の力って凄いですね。

また、主人公の純粋さに少なからず嫉妬してしまう自分もいて、
改めて彼を見習って一からやり直そう、という気持ちが生じました。

私はグランドピアノをほとんどひくことはありませんでしたが、
この本が、小さいころから私の成長を見守ってくれたピアノからのお別れのエールだと思って
しっかりやっていこうと思います。






春はあけぼの。

春はあけぼの。

やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

                                   (枕草子)

立春前後から、私は明け方に臨港パークまで走っています。
そして、パーク内の大きな木の下で気功をしながら日の出を迎えます。
臨港パークから見る日の出はとても美しく、何度見ても精神的に高揚します。
太陽が顔を出すといつも同じ鳥が木の上で一定のリズムで鳴きはじめ、
霜のついた芝生は歓喜しているかのように鮮やかな緑色に変化します。
私は黄金色の太陽を目に焼き付けた後、目を瞑り、残像の色の変化を楽しんだり、
息を止めて青空のプラーナの散乱をできるだけ増やしたりしています。
このプラーナと言われるものは太陽光や蛍光灯のような白色光を見ると
誰でも見れますが、個人的には貧血や頭を打った時に飛ぶ星と似ていると思うので
空気中に散乱する物質ではなく神経細胞のスパークなのではないかと思っています。
最近、可視化された脳神経細胞のスパークやシナプス伝達がyou tubeでも見れますが、
なんとなく動きが似てなくもない。
白色光の刺激他、なんらかの要因で視細胞が刺激された時に生じるスパークなのかな。
また、回転する光輪も神経細胞のスパークと関係あるのかもしれません。

それはさておき臨港パークの紫だちたる日の出前の時間には多くの人がおります。
走っている人、歩いている人、尺八を吹く人、太陽礼拝のアーサナをしている人、太極拳をしている人、
集まってラジオ体操をする人々、きゅうきゅうと面白い音がするボールを追いかける犬、
鳥たちにごほうびをあげるおじさん、カメラを構える人、ボーっと座っている人etc.
いろんな人(動植物)がいますが、皆、あの瞬間は同じ思いを共有しているような気がします。
清少納言との時空を超えた共有ですな。
・・・すみません。


塚本はり灸院










ムシ。

パテカトルの万脳薬という某週刊紙のコラムに

ネコ好きな人はもしかして…

という題目のものがありました。

トキソプラズマという哺乳類に感染する寄生虫の話です。
なんでもトキソプラズマは世界人口の30%近い人が感染していて、
統合失調症の患者では特にトキソプラズマの検出率が高かったという結果が出ているとか。

統合失調症は生活環境や教育環境が原因の「心の病」だと考えられがちですが、
一卵性双生児で一方が発症するともう一方が発症する確率が50%にもなることから
遺伝率が高い疾患なのではないかと想定されてきました。
しかし、現在では母親の胎生期にトキソプラズマが胎児感染した為に双生児一致率が
高まっているのだと考える専門家が増えているそうです。


興味深いのはネズミにトキソプラズマを感染させた実験結果です。
ネズミはネコが嫌いでネコの臭いをかいだだけで恐怖に震え、一目散に逃げ出しますが、
トキソプラズマに感染したネズミは臭いに怯えるどころか近寄っていくことさえあるそうです。

トキソプラズマはネコの体内でのみ有性生殖できるので、まずはネズミの脳と筋肉に感染し、
ネコへの恐怖心を減らし、動きを緩慢にすることでネコに捕食される確率を高めるのだそうです。
そしてネコの口腔を通じて体内に入り込むと。

カレル大学のフレグル博士らはヒトにトキソプラズマが感染しても、動作が緩慢になり
無気力になることを発見し、特に男性に症状が強くでるという結果を得たそうです。
加えて、博士らは「感染者はネコが好きになる。」と主張しているそうです。
ネコ好きは本人の思考や意思の表出ではなく、トキソプラズマの「思う壺」だったとしたら
ヒトの心とは一体何なのか不思議な気分になります。


という感じの内容のコラムです。


非常に興味深いですね。
現代では脳科学が発展してきて、心の状態も脳の働きで説明できるようになってきていますが、
その脳の働きをコントロールをするものが実は一番重要なのであって、
あなたの心をコントロールしているのはひょっとするとムシかもしれないということです。
あなたが好きになる異性のタイプもなんらかのムシのせいかもしれませんし、
やる気が出ない人も、浮気症な人も、怒りっぽい性格の人もみんなムシのせいかもしれません。

胃潰瘍の原因がピロリ菌であることがわかって久しいですが、ピロリ菌を除去してしまうと、
ひょっとしたら胃潰瘍にならないだけでなくナイーブな性格も治るのかもしれないですね。
私はナイーブな性格が胃をピロリ菌が繁殖しやすい土壌に変えてしまうのではと思ってましたが。

ムシや菌の話ではないですが、お酒、たばこを好きな人とそうでない人との性格と行動の違いも
かなりはっきりしていますよね。


ちなみに戦国時代に「針聞書」という本があり、そこには63匹のハラノムシが描かれております。

昔の人はお腹にいるそういったムシが悪さをすることでいろいろな症状が出ると考えたようです。

腰抜けのムシ、汗のムシ、大酒のムシ、欠伸のムシ、昼寝のムシから
蟯虫(ぎょうちゅう)や寸白虫(すばくちゅう)のようなムシも描かれています。

たとえば腰抜けのムシに取りつかれた人は突然の激痛で腰が抜け、生きが詰まって胸元が苦しく
冷や汗をダラダラと垂らし、虫の出す虫酸(むしず)が体内を駆け巡るとむせ返って嘔吐してしまいます。
治療法は木香と甘草を内服すると治るそうです。

大酒のムシに取りつかれた人は大酒飲みになるそうですが、元々泥酔の泥とは虫の名前だそうです。

虫酸が走る
泥酔
ムシの居所が悪い
ハラノムシが治まらない

などなどムシ由来の言葉は結構ありますよね。

映画「千と千尋の神隠し」でもハクの中にいる虫が神様のニガダンゴで吐きだされましたね。
その後、千が踏んづけて、みんなでエンガチョしていました。
あなたの身近にいる人の信じられない行為行動も、その人が身体の中に飼っているムシのせいだとしたら
少しは優しくなれるのではないでしょうか。
自分自身の今思えば何故あんなことしたのかと後悔している行動もくよくよ悩まないでムシのせいにして
前向きにいきましょう(笑)

そしてそのムシを戦国時代の人達にならって針と生薬で治すというのはどうでしょう(笑)

ちなみにこの「戦国時代のハラノムシ」という本は弊院の待合室にございますので、
ご来院の際に是非手に取って見てみてください。
結構ゆるキャラぞろいのキモカワイイ虫がいっぱいでてきます。

横浜 塚本はり灸院

うつ病と白檀

今日は雨です。

先日、お灸屋さんより白檀の香りの石鹸をいただいたので今日は白檀について書きます。


誤解を恐れずに書きますが、東洋医学では生体と死体の違いは「体に気が流れているか否か」

と考えられてきました。その気とはいわゆる万物の源でありまして、あらゆる生物の中の源になっている

エネルギーであります。人体にはその気の流れる道があって、それを経絡と呼び

その経絡に十分な気が流れていると健康ですが、気が不足したり、気が鬱滞したりすると

気が病む、つまり病気になると考えられておりました。

気にはいろいろな特徴があり、五臓六腑や感情と結びついてそれぞれ押しあいへし合いしながら

協調して人体を健康に保とうとしているわけですが、まあ、現代でいうところの精神的ストレス

物理的ストレスなど様々なストレスによってその協調性が乱され病気になるわけです。

また、気とは消費されて少なくなっていくものなので年を取るにつれどうしても衰えてしまいます。

衰えて少なくなっていてもそれぞれの気がバランスをとりあっていれば長生きできるわけで、

そのバランスをとる方法や気をうまく補充する方法、気の消費を少なくする方法などが

養生法として古代から伝わっており、その気の乱れの調節として使われていたのが鍼灸や漢方薬です。

気が鬱滞した時に典型的に出る症状に肩凝りや頸凝りがあります。

鍼灸ではその気が鬱滞した経絡、不足した経絡を調節することで肩凝りを解消させますが、

まあ、軽症であれば凝っている所(気が滞っている所)に直接プスっと刺して気をもらすと一時的に

爽快なわけです。


そこで本題の白檀ですが、白檀は行気薬の一種でして、行気薬とは気を行(めぐ)らせる薬のことです。

気が鬱滞したり逆気といって逆行したりした時に効果を発揮します。

矢数道明先生の絶版になってしまった名著「漢方治療百話」に白檀をはじめとする「薬の匂い」について

の考察が書かれております。先生ご自身も軍医として南海ソロモン群島の中にあるひとつの島で捕虜生活

を送っていた時に、誰もが敗戦の痛手を受けて、いつ故国へ帰れるかわからないという味気ない生活の中で

「気鬱」の病すなわち「ノイローゼ」になっていたとき、漂ってきた白檀と思われる香りによって人々が

一様に沈滞した気を引き立てられ、生き生きとして眼を輝かせたことを著述されております。

また、お釈迦様の説法の時は白檀が焚かれたり、入滅の際は沙羅双樹という香木の木の下であったりと、

仏教と香木の関係は深く、インドの人々は香木が気分や感情を和らげる効果があることについて熟知

していました。その後、仏教の伝来とともに白檀が中国に輸入され、中国では寺院に捧げる最高の贈り物

としてまた貴族や富豪の贈答品として珍重されたということです。

先生は香木類が学問上に研究され、治療の上に活用されたならば、医薬会は一層香り高きものに

なるのではなかろうかと、お洒落に結ばれています。



そういえば、猫の大好きなマタタビの香りは薬理学研究で麻酔作用があることがわかっているそうですが

猫にとってはまさに気をめぐらせる要薬なのでしょうね。香りもそれぞれの生物種、

それぞれの個体によって効果も当然変わってくるということですね。


ちなみに私は猫を眺めていると気鬱が治るので、日頃の感謝をこめて白檀の石鹸をかかりつけの

猫カフェに贈答しました。


贈答した商品


猫カフェブログ(2013.9.2のブログ)


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